国内外で活躍するも、プロサーファーにならなかった理由
湘南育ち・在住のトップアマチュアサーファー選手、石川拳大さん。4歳からサーフィンを始め、中学時代から世界大会に参戦、国内外の大会で優勝するなど輝かしい経歴を持ち、現在も社会人アスリートとして活躍している。
「サーフィンは両親の影響で、兄と一緒に始めました。2人でずっと練習していたのですが、その兄が留学先のオーストラリアで楽しそうにしているのを見て、僕もオーストラリアの高校に進学することに。海外に行った際に現地の人と言葉の壁でコミュニケーションが取れず、悔しい思いをしたので、それを克服したいという思いもありました」と石川さんは振り返る。高校卒業後は帰国とともに神奈川大学に進学。自ら立ち上げたサーフィンサークルで仲間とともに腕を磨きつつ、2年連続で全国大会に出場した。大会での優勝・海外への積極的な遠征などで「石川拳大」の名前と活躍の場は広がり、近い将来にプロサーファーになることが期待されたが、石川さんが選んだのは企業への就職だった。
「例え世界トップの選手になったとしても、いつかは引退して新たな生活や仕事を始めないといけない。でもサーフィン『だけ』に集中していたら、次のステージの選択肢が狭くなってしまうんじゃないかという懸念もあって。いろんな経験を積むことで見えるものも違ってくるでしょうし、0か100かではなくて、0から100の中でバランスを取りながら自分の世界を広げていくことが重要だと思ったんです」。
湘南での生活と、石川さんが描くこれからのビジョン
こうして会社員となった石川さんは現在も企業に勤務しながら、社会人アスリートとして活動するほか、国際環境NGOサーフライダー・ファウンデーション・ジャパンの事務局長も務めている。忙しい毎日だが、それを支えているのは湘南の雰囲気だという。
「湘南はどこかのんびりしているところが一番好きです。東京にも出やすいし、海も近くにあるし、生活のバランスが取りやすい場所ですね。ファミリー層が多く子育てしやすい環境でもあると思います」。プライベートでは2児のパパでもある石川さん。家族での移動やドライブに今や欠かせない存在となっているのが愛車のジムニーだ。
「実は父が乗っていた車が同じモデルで。今でも鮮明に覚えているほど、思い出のある車だったのでずっと探していたんです。知人に紹介してもらったAPIOさんでこれを見つけて購入したのがきっかけで、APIOさんにスポンサーになっていただいたりと楽しく一緒に活動しています」と石川さんは笑う。アスリート、会社員、NGOの事務局長、2児のパパと多くの顔を持つ石川さんだが、気になるのは次なる目標だ。
「まずは引退までしっかり続けること。やるからには本気で取り組んで結果を出したいですし、子どもに父親の頑張りを見せたいというのもあります。また今行なっている『海の寺子屋』のような活動を広げていき、教育活動にも力を入れていきたいですね」と気合いは充分。サーフィンを軸に石川さんの世界はますます広がっていくに違いない。