木の家具があるくらし #7
フリーハンドイマイ

#7 限られた形をすてきな空間に整え直してみる

Hさんのご新居はご実家に近くの静かで小高い住宅街、学校の近さなどの立地の良さを考えて、この場所に建てられるという建売住宅にされたのでした。 建売と言っても、今はまだ更地の状態でこれから建築が始まるので、いくらか住み手の要望もかなえられるかなと期待していたそうなのですが、やはり建てる前の条件と異なってしまうのは建築として現実的に難しいと言われてしまいまして、オーダーキッチンは断念することに。
ただ、せっかく自分の家を建てるわけですから、自分たちにとって心地よい場所になるように、特に長い時間を過ごすキッチンは気持ちよく過ごせるようにと考えて私たちのところを訪ねてくださったのでした。
実はHさん、以前に私たちでキッチンを作らせて頂いたことのあるお客様で料理教室の先生をされている方のところにお手伝いに来ていたことがあってその頃から私たちのキッチンや家具を知っていてくださったのです。その先生とは、いま辻堂ですてきなカフェとデリカテッセンのお店を開いている「KISSAKO labo&pantry」さんでした。 うれしい出会いですね。 いろいろなところで生まれたご縁で今こうしていられることに感謝しております。 さて、そのHさんが考えたのが、食器棚をオーダーで使いやすくすること、ダイニングにも収納を設けてキッチンの空間とまとまるようにすること、この2つを軸に形を考えていったのでした。もともとのキッチンには食器棚を置くスペースと、その隣にちょっとしたオープンの棚がある間取りでした。そのオープン棚がリビングダイニングからすっかり見えてしまうのですが、壁についている棚柱がむき出しで、白い棚板が味気なく見えてしまうところが少し残念な印象だったのです。
そこで今回は、食器棚と一緒に左隣のオープン棚をうまく隠して扉も作って、食器棚と印象を揃えたパントリーに見えるようにしましょうと考えたのです。
そして、もう一つがシンプルなシステムキッチンと対面カウンターの部分。この部分を食器棚と同じく木の温かみのある形に整え直そうということで、まずは対面カウンター。この形を考えていた時にはまだ大工さんが木工事をしている最中でしたので、できれば標準仕様の対面カウンターは取り付けないままで引き渡してほしかったのですが、建売ではそれさえも難しいということが分かったので、そのままお引渡が終わった後に私たちのほうでうまく仕上げ直していくことにしました。具体的には、標準仕様の白い対面カウンターの上からオーク材で制作したカウンターを被せて、ダイニング側の収納を設置して、さらにはシステムキッチンの側面もオーク材のパネルを取り付けることに。こうすることで大きく印象を変えることができたのでした。そして、それと一緒に、システムキッチン自体の表面材もオーク材に交換することにしました。こうしてキッチン周りを整えることでオーク材で囲われた温かみのある空間を作ることができたのでした。
建売という限定された空間でも家具の取り入れ方で大きくその空間の意味を変えることもできます。
家具はただ物をきれいにしまうだけにあるのではなく、そこに暮らす人の「過ごす時間」や「感じる心地良さ」と言った目には見えない質感さえ提供できるということをあらためてHさんから教えて頂いたのでした。
「イマイさん、あとはこの吊戸棚と食器カウンターの間にタイルを貼れば完成です。この中だとどのタイルが良いと思いますか。」 Hさんの心地良さの探求はまだ続いているのですね。

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Tel:0467-75-8719

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