木の家具があるくらし
フリーハンドイマイ

フリーハンドイマイの今井大輔さんに聞いた
#2 勉強机のはなし

ある日、 若いご夫婦が私たちのところに家具の相談に来てくれたのです。 「実は今度子供が小学校に上がるので、思い切って勉強机を作りたいと考えて相談に伺ったのです。」なるほど、すてきなお話です。家具が必要になるタイミングってそういう歳の節目のお祝いで、と考えることは多いですものね。初めてのお子さんなら尚更そういうものを使ってもらいたいという親の思いは強くなるものです。お子さんにとっても特別なとてもうれしいプレゼントになることと思うのです、最初のうちは。 なぜ「最初のうちは」かというと、我が家を見ているとちびっ子にとっての勉強机というものが何だか疑わしく思えてしまったからでした・・。
我が家も長女が小学4年生だった頃かな、二人に机を作ったのです。それも記念になるかなと思って、子供たちにも塗装やら組立を手伝ってもらったりして一緒に作ったのです。今でこそ二人の娘はだいぶ大きくなり、自室で勉強やら何やらポチポチとイヤホンを付けながら籠って楽し気にその机を使ってくれているのですが、当時まだ小学生だった頃の彼女たちにとっての机というものは、ランドセルやらプリントやらを積み上げておくための場所でしかなかったのでした・・。勉強はどこでするのかというと、お母さんが見えるダイニングテーブルで、ご飯もダイニングテーブルで、お絵かきする時もお話する時もダイニングテーブル。そう、その頃の我が家にはダイニングテーブルが暮らしの真ん中にあったように思えます。妻はキッチンに立ちながら子供たちの様子が見たいし、子供たちはお母さんのそばで時間を一緒に過ごしたい。
だから、我が家のダイニングテーブルは「食卓」というよりも「作業台」という言葉がよく合うような質素な形でしたね。私のような大男が上に乗っても大丈夫で、天板は子供たちがもっと小さい時にスプーンやフォークで突っついた凹みがあったり、ギュウギュウ鉛筆を押し付けて字を書くものだから字の跡が木の表面に残ってしまっていたり、足元にはいつも小さな消しゴムのカスが落ちていたり(彼女たちは気づいていないようですが消しゴムを使うと、とても勢いよく削りカスを手で払うのです)、掃除機をぶつけたものだから足がほんのり凹んでしまったり。それでいいんだなぁと、私は勝手に思っているのです。そういう歳頃に無理に子供に自分の部屋で勉強しなさいとは言いたくないし、今なんて大きくなってしまった子供たちはさっさと自分の部屋に行ってしまうわけですし。みんなが一緒に居られる時間はあっという間で、そういうキラキラした時間を思いながら今の時間を過ごすことの気持ち良さってとても大切です。
ですので、その相談に来られたご夫婦にも同じようなことをお話ししたのです。
最初は、家具の相談に来ているのになぜって表情でしたが、「なるほど、子供たちとの時間ですね・・。たしかにまだ机は必要ないのかもしれませんね!」とそうおっしゃってくださいました。「それならばみんなで使えるようなもっとしっかりしたダイニングテーブルをお願いできるようにいろいろと考えてみます。家具の相談に来たのに家具の相談に乗ってくれないというお店も珍しいですよ。(笑)」たしかにそう思います・・。
あれから、あのご夫婦とお子さんはどうされているかな。再び勉強机のお話をしに来られないということは、テーブルでの団らんが実っているのかな。でもテーブルのご相談にもいらして頂けないということは、かえって愛想をつかされちゃったかな・・。(笑)

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