「かくれ文字絵」が堪能できる! 作家ご夫妻が手がける 小田原のギャラリーカフェ「かくれんぼ」
筆で描かれた力強くも優しい絵画は何の変哲もないと思いきや、よくよく見ると絵の中に文字が見える!似顔絵や動物などの輪郭線に使われているのは、ひらがなやカタカナなどの文字。それぞれの文字が持つ形や特徴を巧みに組み合わせて、1つの作品を作り上げる「かくれ文字絵」の作者は小林真澄さん。そのユニークな表現が認められ、日本を代表する注目の現代アーティストの一人として国内外で活動している。先日、上野の森美術館で開かれた個展も大盛況のうちに終了し、副題のとおり 10 年の歩みを振り返るにふさわしいものとなった。
「以前は教職に就いていて、 50 歳を超えた時にふと今後のことを考えたんです。60 歳という年齢が定年退職の年であるとともに、私の母がちょうどその年齢の頃に亡くなっているので、教職だけでなく原点に戻って創作活動をし充実した人生を送りたいと思い、この道を選びました」。そして退職時に描いた「文字笑顔」がきっかけで現在の表現が生まれ、第二の人生がスタートした
アート活動を進めていく中、作品を発表する空間の準備も始まった。小林さんの作品を展示するギャラリーカフェを作ることにしたのだ。ご自宅に増設するかたちでカフェブースをつくり、設計や雰囲気にもこだわった。外からの視線を遮りながら採光に配慮し、大人の癒し空間として落ち着いたトーンに仕上げたそう。カフェのオーナーは小林さんのご主人であり、全てにひと手間かけたあたたかいおもてなしで迎えてくれる。
「作品には日本独自の文字である『ひらがな』をメインに使用しています。いろんな言葉と組み合わせて、見る方に笑顔を届けたいですね。そして絵なんだけれど、よく見たら実は文字!という感動も。ストーリーと思いを込めて描いているので文字だけでなく、そうした点も見ていただけると嬉しいです」と小林さん。和紙や文字を使ったワークショップも開催することがあるそうなので、かくれ文字絵世界により触れたい人はぜひ。
かくれんぼしながら優しいアートを堪能できるギャラリーカフェは、ゆっくり過ごせる素敵な空間だ。