木の家具があるくらし #5
フリーハンドイマイ

#5 キッチンとの向き合い方

3年前に小さいながらも友人と一緒にきちんと考えて家を建てることができまして、やはり自分の家に住んでみるといろいろな思いが得られるというのでしょうか、とてもお勉強になるものです。それまではマンション暮らしでしたので、決まった空間でそこにあるものをうまく使って暮らす楽しさはあったのですが、いざ自分たちで考える家となると、やはり自分らしさを表せるようにしたいという思いも出てきます。その中で一番気持ちが強かったのは、庭があるということ。緑が見られて、風が感じられること。部屋の心地良さや家具の形はその次でしたね。(笑)そんなわけで立地はあまり良くないながらも(旗竿地で周りは3階建てに囲まれていたりするのです)が風は抜けるし、陽射しもほどよく入ってくる心地良い場所にすることができました。その風が抜けていくような感覚に似て「キッチンの周りもくるくる回れるようにするとよいでしょう。」というのが友人と私が出した答えでした。これは、今まで私もあまり実感が無くて何となく「なるほどー。」くらいにしか思っていなかったのですが、これが実際に暮らしてみるととても良いと気づいたのです。 私も時々ですがキッチンに立つことがありまして、また二人の娘もキッチンに立つことがありますので、週末などはキッチンの周りがたいへん窮屈になる時があります。(うちはみんなでかいのです。)一人が水場で仕事をしている時にちょっとパントリー代わりの奥の収納に物を取りに行きたかったり、誰かが火を使っている時に冷蔵庫に野菜を取りに行きたい時などぐるりと回り込むことなく、あるときはこちらから回って、ある時はあちらから回って、というように動線が重ならずにすむのです。 キッチンのレイアウトとしては、妻手側が壁に接するペニンシュラキッチンになるのですが、その壁の一部が引き戸になっていて、開けると玄関に抜けることができ、玄関からは別の開き戸1枚でリビングへとつながっているので、それらを開け放つとたちまちアイランドキッチンのように使えるのでした。 この快適さは暮らして初めて分かる心地良さだったのです。 オーダーキッチンというと、きっともっとほかにも重要なことがたくさんあるのだと思うのです。例えば、『調理道具を使いやすくレイアウトしてきれいに収納する方法』とか『食洗機から引き出しにすぐに食器を移せるようにする工夫』とか『機能的な調理家電をうまく組み込む方法』とか、考えるときっと実際にキッチンに立つことの多い女性ならではの目線がたくさんあるのでしょうけれど、私としては、風のように心地良く動けること、庭の緑を見ながら調理ができること、そういう空気が持てることのほうがうれしかったのです。 だから、私が皆さんのキッチンを考える時は、それほど特別な形になることが少なかったりします。その人にとってそこで過ごす時間が心地よくなるようにするには何を大切にしたら良いのかを一つずつ考えていくとあまり奇をてらう形になることはなく、むしろどこかで見たような形かもしれないけれど、その人にとっての特別な形になっていくのかもしれません。その普段着のような形に心地よいと言ってもらえることがうれしいことなのです。
設計してくれた友人の福原さんも、そういう気持ちをもうとっくに汲み取ってくれていたのですから、得意げにそしてうれしそうに「便利でしょ。」なんて、やはり照れ笑いしていましたね。

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