家具を通して使う人の暮らしと気持ちを整えよう

オーダーメイド家具を手がける寒川町の『フリーハンドイマイ』。
キッチンをはじめ、テーブルや食器棚、いす、チェストなど身の回りのあらゆる家具を作っています。代表を務めるイマイさんが目指すのは、家具を通してそれを使う人の暮らしと気持ちが整うこと。そのためイマイさんは、デザインや機能性だけでなく、空間に心地よく馴染むかも考え抜きます。「どんどん使って一緒に生活するものだから」とさまざまな工夫・提案から生まれた唯一無二の家具は、存在感が際立つ美しいもの。そしてどこか温もりが感じられるのが特長です。今回は家具と空間が見事に調和した制作例を、イマイさんの言葉でご紹介します。

「ダイニングテーブルの作例」アイアン5本脚の円卓

数年前にデザインした今でも私の大好きなテーブルがあります。ブーメラン型にカットした5枚の鋼材を放射状に並べて、それを丸棒状の鋼材でつないでいくというデザインです。ブーメラン型にしたのは私が好きな建築家であり家具作家のジャン・プルーヴェの持つ表情から着想し、そこに、私自身が好きなロードタイプの自転車のパーツの中で「手組のホイール」というのがありまして、ホイールのスポークを張っていく時にスポーク同士を溶接することで剛性をあげるということに着想を得て丸棒同士を溶接してできあがったブーメラン型同士が接しない緊張感のあるデザインのテーブルです。お話が前後しますが、この形は元々1本脚のテーブルがほしいというクライアントからご依頼を頂いたことがきっかけで生まれたのです。1本脚のテーブルというと、荷重が偏るとグラつくという印象があって、それを安定した形で作りたいという思いで生まれたのがこの形だったのです。できあがったこの形は足元が抜けていることもあって、思いがけず、足を伸ばして座ることができたりして、なかなか使いやすいテーブルになったことで、この8年の間にいろいろな樹種や塗装色で制作してきました。

今回のKさんのところに作らせて頂いた形は、今までの印象と変わっていてホワイトを基調として作らせて頂きました。今までは、自分の中のプルーヴェの印象もあって、ブラックやダークブラウンなどの濃い色で作らせて頂くことが多かったので、今回まったく正反対の色で作ることで私自身できあがりがイメージしづらい部分があったのでした。どんな印象に落ち着くのだろうか‥、なんて思っておりましたが、Kさん、実は家具や内装のリペアを仕事にされていて色使いや塗装の表現への造詣が深い方でして、打ち合わせの中でいろいろと学ばせてもらったのでした。そのKさんがおっしゃるのですから、できあがりは不安よりも楽しみのほうが増していくのでした。また、テーブルと一緒にダイニングチェアも作らせて頂き、チェアをテーブルの下にしまった時にきれいに納まるようなデザインで作らせて頂けたことも全体の印象を整えることができた大きな要素だったのだと思います。こうしてできあがったテーブルとチェアが納まった様子を見ていると、当初のテーブルで私が思い描いていた「どこか無骨だけれど上品な印象」というものが消えさって、より上品で涼やかな北欧の風が吹き抜けるようなダイニングに誘(いざな)われるような心地になったのでした。色が変わるだけでこれほどにも表現されるものが異なるのだなとあらためて気づかされまして、すてきなご依頼を頂けたことをたいへん感謝しているのです。

「リノベーションの作例」タモ材で作ったキッチン対面カウンター収納と食器棚

家具の形を考える時に家具そのものの形から考えていくことはもちろんですが、もっとざっくりした相談から始まることも多くなってきました。私自身が暮らしに携わる資格のようなものを持っているわけではないのですが、今までのいろいろな作例を皆さんがよく見てくださっているからか、「イマイさん、こういう形だとどういう暮らしができるのかしら。」と家具の形よりも暮らしの形を尋ねてくださることが多くなってきました。 今回のSさんもそういうスタートでした。リフォームをするにあたり大まかな間取りが決まってきたタイミングで、ダイニングにお子さんのプリントや資料などを整理できるようなファイルケース収納と簡易的なデスクを作りたいというご相談を頂いたことがきっかけだったのですが、その収納をダイニングのどの壁面を利用して家具を作ると家族みんなで使いやすいのかが大きな悩みだったのです。そういえば以前はリビングの壁面収納にデスクが備わった形をよく作りましたね。でも、それもひと昔前のように思えます。

スマートフォンが本格的に普及してくると、家庭でのパソコンやテレビの使い方が大きく変わって家の中のいろいろな場所で使えるようになりました。さらには、子供たちはお母さんと一緒にダイニングテーブルで勉強することがいまだに多いですし、壁に向かってデスクを設けても背中が騒がしいと落ち着いてタイピングもできなかったりして、だんだんデスクが物置になってしまったりして。このように家具だけの形を考えるよりもその人がどういう暮らしが描けるのかを考えていくこと多くなってきたのです。Sさんの場合もファイルケースもどこに置くとお子さん自身が管理しやすいのか・・。ここに置くとこういう動線が生まれて、そうなる時にご家族の皆さまはどういう動き方になると過ごしやすいですか。と毎日の暮らしかたを振り返ってもらうことが多いのです。また、家具自体の形もしまうものだけに合わせた形だと自由度の低い形になりやすかったりするので、なるべくシンプルな形、汎用性のある形にすることがストレスのない形になると思っております。そういうお話を家具のプランの中に盛り込んでいくと、その暮らしかたを思い描けるとその人の家具がおのずと決まっていくことが多いのです。そういうお話の流れでこのSさんの形もできあがったのでした。また、この家具はシステムキッチンを囲うように作ることで、木に囲まれたキッチンのように表現することができて、私たちの作るオーダーキッチンのような印象にすることができました。そして、食器棚も同じタモ材を用いることでリビングから見た時に調和の取れた空間が実現できました。

「私たちにとっては大きなリフォームは初めてで、このタイミングでイマイさんの家具に出会えたことはどんなにうれしかったことでしょう!自分のこれまで、そしてこれからの生活を考慮しながら必要とする家具について、イマイさんと向き合っている時間がとても勉強になりとても楽しい時間となりました。音楽はドレミファソラシドしかない音階で多様なメロディを生み出し人の人生に影響を与えます。家具は板1枚から、これまた多様なカタチを造り出し、その人の生活に毎日寄り添います。
自分の好きなテイストの家具屋さんを自分で見つけ出して、整った我が家での生活はどれだけ快適なことか♪ ふふふ
経験豊富な家具屋さんがいるのは安心です。これからもよろしくお願いいたします。」

SHOP INFORMATION

フリーハンドイマイ
高座郡寒川町倉見962-3
TEL:0467-75-8719
営業時間:9:00~19:00
定休日:第1、3土曜・日曜・祝日

https://www.freehandimai.com

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