古木克明湘南からはじまる「ベースボールサーファー」の新たな挑戦

プロ野球選手の経験を生かし、野球を通じて人のつながりや地域の活性化に貢献する。事業家・古木克明さんが語る、過去と現在と未来。

元・プロ野球選手で元・格闘家。その異色の経歴とは
2017年 1 月、「 TheBaseball Surfer」を立ち上げた事業家・古木克明さん。元プロ野球選手であり、その後、格闘家に転身した異色の経歴の持ち主である。現在は、子どもの野球教室での指導や野球ができる場所や機会の提案、アパレル事業の展開と多忙な日々を送っている。
小学 3 年生で野球をはじめ、高校時代には 2 度の夏の甲子園出場を果たした古木さん。「バットを抱いて寝る」とメディアで紹介されたことを覚えている方も多いだろう。高校卒業後はプロ野球選手として、横浜ベイスターズやオリックス・バファローズで活躍。そんな彼がプロ野球選手を引退後、格闘家に転身したのは驚きだった。
「その頃、ホームランが打てなくなっていたんです。野球に対する自信もなくなって、受け入れてくれる球団もなくなって。それで野球自体が嫌になってしまっていた時、知人が『新しい格闘技団体を立ち上げるからやってみないか』と声をかけてくれました。」
その後、格闘技団体「SMASH」で活動し再び野球の道へ。「格闘技はとにかく練習から痛いんです。野球ではまずないことですし、畑違いだったなと… （笑）。それでもしばらく格闘技を続けて引退しました。格闘家引退後、今度は野球に復帰しないかと誘われました。野球以外のことも経験した今の状態で、もう一度野球をしたら楽しいんじゃないかと思ったことが決め手になりました。」
2013年にはハワイ独立リーグのハワイ・スターズに入団し、シーズンでは 54試合出場、 2 本のホームランを打つ活躍を見せた。そこにはもう野球に対するモチベーションの低下などなく、本来野球がもつ楽しさを存分に味わった。

ライフスタイルから湘南への移住を決定
日本に帰国後、ここ湘南の地を新しい人生のステージに選んだのには、何か理由があったのだろうか。「湘南には 2 年前に引っ越してきました。湘南には友達がいたし、趣味のサーフィンもしたかったので。仕事をしながら、時間がある時にはサーフィンに行くような生活スタイルがいいなと考えていたことも湘南に決めた理由の一つです。都内にも 1 時間ほどで行くことができますし、湘南はゆったりした空気感や街の雰囲気も含めてすごく好きです。」趣味のサーフィンは 25 歳の時からずっと続けているそう。
「元々、父親もサーフィンをやっていたらしいんです。話を聞いたときは半信半疑でしたが（笑）、実家にサーフボードがありました。それもあってサーフィンをやってみたいとはずっと思っていて。そんな時にプロサーファーの中村竜さんとお会いする機会があり、中村さんから、やってみたら？と勧められたことがはじまりです。人生初のサーフィンは真冬の鵠沼でした！当時は現役のプロ野球選手だったのでなかなか頻繁には行けませんでしたが、波が体をスッと運んでくれる感覚が心地よくて、『また海に行きたい』とよく思っていました。

事業の柱である少年野球の関わり方
そして今、古木さんは事業の 1 つとして野球教室を行っている。月に 1 、 2 回の出張教室も行うほどだが、当初は野球を教えることにあまり乗り気ではなかったという。「子どもには自由に野球を楽しんで欲しいと考えていたので、ただテクニックを教えるということをその楽しみの中に挟みたくないと思っていました。けれど、野球をやっている子のスイングを個人的にちょっと見てあげたりすることが 1 年くらい続いて、今の『指導者』というかたちになりました。今はより多くの子どもたちに野球の楽しさを伝えることで、湘南地域の活性化や地域創生につながるといいなと思っています。」
子どもたちを指導する際は、選手の素質やスタイルを無理に変えようとせず、成長過程での発展を信じて指導しているとのことだが、これも自身の経験があってのことだろう。「基本的な考え方をしっかり持って成長して欲しいと一番に考えています。自分が立ち返れる場所があれば、スランプになることも少ないと思うので。」全人生を賭けて野球と向き合ってきた彼だからこそ、これからも野球への愛情や熱を世の中に発信し続けてくれることだろう。今後の活動にも注目だ。